「マンション維持修繕技術者」資格の「価値向上取組み」を協会に求む!
管理組合のマンションマネジメント業務に携わっていると、マンション管理士の資格と、管理業務主任者資格の2つの知識だけでは、管理組合や、住まわれている方々のニーズに十分にお応えできないと感じています。(私は、両資格とも所持して活動しています)
特に、マンションにおいては、大きな出費を伴う大規模修繕のあり方や、日ごろの修繕作業等の品質の在り方が、年間数千万円から数億円規模の管理組合財政面に大きな影響を与えている状況にあります。ここのあり方・考え方次第で、大きな蓄えを生むこともできるし、マイナスに沈むこともある訳です。
また、経年建物(マンション)が年々増加している背景から考えても、建物の管理やメンテのマネジメントの出来る専門家が求められていて、その働きや役立ち方が、管理組合の「財政」・「資産」に大きな影響を与える時代になってきたことは言うまでもありません。
なので、今後は、「単なる修繕知識の所持」を表すイメージの強い「マンション維持修繕技術者」でなく、マンションが持つ資産(財産・建物・敷地を含む)価値を最大化するマネジメントの専門家の資格という位置づけに進化させ、管理組合への「価値貢献度」の高い資格として、広く社会に知らしめる取り組みをして頂ったらどうでしょうか。
より進化させれば、大規模修繕時に管理組合内に設置される「修繕委員会」の”アドバイザー”や、また、会計責任者への”修繕関係収支計画のアドバイザー”などは、適任としてアピールすることも出来るようになるでしょう。 また、区分所有者の方に、この資格の取得推進を働きかけて、自マンションの管理組合のより良い運営に活かして頂ける資格としてもアピールできるでしょう。 現状の延長線ではなく、民間資格であることを活かして、常に、進化を模索し、管理組合への貢献度・役立ち度向上を追求し続けて頂きたいと思っています。
私は他のマンション管理士と交流する機会もある訳ですが、マンション管理士の団体が、管理組合よりも、国や都道府県・市町村などを向きつつ、仕事をしているので、その影響から、目の前の管理組合に対して親身に向き合えるマンション管理士はごく少数だと思います。今後もその傾向は継続すると思いますので、管理組合のニーズ、社会的なニーズに応えられるマンション専門人材は不足するでしょう。
ただこの状況は、管理協会側にとってはチャンスです。なぜなら、マンション管理士は、もともと名称独占資格で、業務独占資格では無いからです。 管理業務主任者がマンション管理士と同じことをすると、どちらも国家資格なので、おかしな印象を社会に与えると思いますが、マンション維持修繕技術者資格が、民間資格であることを活かしつつ進化すれば、管理組合のニーズ、社会的なニーズに応えられるマンション専門人材に成り得るからです。 そして、活躍の機会が約束されている環境にあるとも言えると思いますが如何でしょうか。 仮称「マンション維持修繕マネジメント管理士」などに、進化されてはどうでしょう。
試験の見直しも必要でしょう。択一式45問と、記述式では、学習範囲の割に、出題範囲があまりに少なく、真の知識を所持する合格者の輩出には疑問が残るところです。 以前のように、最低でも、択一式50問+別途記述式(と言っても以前は穴埋め問題主体でしたが)に分けた方が良いでしょう。
具体的には、択一式50問は、修繕知識と技術面。 プラス、20~30問は、記述式・選択式で、修繕の進め方や、積立金財政などのマネジメント面などとし、総じて管理組合側の立場に立ち、管理組合の専門的マネジメントに貢献できる人材を輩出できるようにしていくのが良いと思います。
試験の問題数を増やしても、出題範囲は、変わらない訳ですから、受験生の勉強時間は変わらないでしょう。 協会が、本腰を入れて、社会的ニーズを加味し、この資格の未来をどう考えるか次第でしょう。
さいごに、いずれにしろ、今のままでは、どうしても「評価者(管理業務主任者)」の”補助者的イメージ”の資格と見られてしまい、表舞台に立ちにくい資格と感じます。 現状の独立性に欠ける曖昧な位置づけは、受験動向にも影響を与えてしまっていると思います。 なので、今後は、『管理業務主任者資格とマンション維持修繕技術者資格は、マンションマネジメントにおける車の両輪』と言えるくらいに、堂々とアピールできる資格に進化させるべく方針を固めて欲しいと考えています。 そうすれば、この資格の独自性・付加価値が向上し、その重要性から受験者も増え、より広く社会に貢献できる資格に成長できるはずです。 まず一歩を、と願うところです。

